about 西の湖

会場である安土B&G海洋センターの眼前に広がる西の湖。

風景として目の前にあると、なんだか「あたりまえ」に思ってしまいます。

でも実は、「あんまり知らないな?」ということもありますよね。

安土の地に古くから深いつながりのある西の湖。

よかったら、西の湖のことをちょっとのぞいてみませんか?

 

琵琶湖と淀川水系

琵琶湖は日本最大の湖であり、世界有数の古代湖です。

琵琶湖には大小約460本の河川が流入していますが、流れ出る川は瀬田川だけです。

瀬田川は、宇治川(京都府)、淀川(大阪府)と名前を変えて大阪湾に注いでいます。

琵琶湖を水源としている地域は、滋賀・京都・大阪・兵庫の2府2県に及び、1465万人の水がめの役割を果たしています。

 

西の湖とは

西の湖は琵琶湖最大の内湖で、面積は内湖全体の約半分を占める約222haを有します。

内湖とは、「琵琶湖周辺の内陸部に独立して存在するが、琵琶湖と何らかの形で接続されている水面形態をもつ湖沼のこと」で、湖水の循環による流域全体の浄化機能を果たすとともに、在来魚の産卵場所でもあり、多様な生物の活動場所になっています。

昭和の初期まで、琵琶湖周辺には大小37個の内湖が広がり、総面積は2902haに及んでいましたが、戦後の食糧増産や開発により干拓が進み、現在では残存内湖は23ヶ所、総面積は425ha(約15%)にまで減少してしまいました。

西の湖は、食糧事情が改善された等の幾つかの理由から、干拓されずに現在まで残りました。

 

データからみる西の湖

基本データ

面積は222ha(琵琶湖の内湖全体の約半分を占める)、平均水深は1.5mです。

全国的にも屈指の規模を誇り、琵琶湖周辺の自然や景観として重視されています。

鳥獣保護区

平地や水辺に生活する鳥類の重要な生息地となっています。ヨシ群落は繁殖場所としてだけではなく渡り鳥の中継地として、また、ガンカモ類・ヨシキリ・カイツブリなど、多数の鳥類のねぐらとして重要な役割を果たしていることから、2006年11月1日に鳥獣保護区に指定されました。

ラムサール条約湿地

正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、環境に関する国際的な条約としては最も古いものです。

1993年6月10日に琵琶湖が登録されました。2008年10月30日に登録エリアが拡大され、西の湖が追加登録されました。

この条約では、渡り鳥や魚をはじめとする、いろいろな生き物がすめるよう、湿地の保全と賢明な利用(WISE USE:ワイズユース)をめざしています。

 

琵琶湖国定公園

琵琶湖を中心に西の湖をはじめとする内湖とこれらを取り囲む比叡山・比良連山・賤ヶ岳・三国山・伊吹山・冷仙山・瀬田川流域など、自然の風景地を対象に、わが国で最初の国定公園のひとつとして、1950年7月24日に指定されました。面積は97,672haに及びます。

ヨシ群落保全区域

ヨシ群落は、水鳥や魚類の生息地であり、湖岸の侵食を防止するほか、湖辺の水質保全にも役立つなど様々な働きを行っています。

琵琶湖周辺のヨシ群落保全区域は、「保全地域」と「普通地域」にわかれています。

1992年7月1日にヨシ群落保全条例が施行され、西の湖一帯が「保全地域」に指定されました。

 

西の湖 体感3大メニュー

西の湖を探検する(環境和船)

~四季折々の風情を満喫し、水辺の自然とふれあい、環境と自然について学ぶ~

湖を和船で航行すると、ヨシが群生している様子や、ヨシキリや魚の様子、季節とりどりの風景が見られます。また、船頭さんが湖や魚・貝について話を聞かせてくれます。湖上散歩しながら、環境について考えてみませんか。

西の湖を食べる(ヨシ特産品)

~ヨシ(葦)に癒され ヨシ(葭)に満たされ ヨシ(善)を食す~

ヨシの新たな活用策として、商工会特産品グループが様々なヨシ特産品を開発しています。青ヨシの葉からヨシ粉末を取り出し、ちまき、だんご、サブレ、せんべい、玄米茶、緑茶、ジェラート、うどんなどを加工し、地域内やイベントで販売しています。またヨシにはビタミンCが豊富に含まれていることが分析結果から明らかになっています。ヨシを味わいながら西の湖の原風景を思い浮かべてみませんか。

西の湖を体験する(ヨシ刈り他)

~仲間とともに楽しみながら、汗を流す~

西の湖周辺では、様々な体験が可能です。冬場のヨシ刈りには多くのボランティアが参加してくれます。汗を流した者だけが味わえる、西の湖の素晴らしさと心地よさです。循環型社会を目指す活動の一端を担ってみませんか。

 

西の湖の生き物

〔ヨシ〕

西の湖には、ヨシ群落が近畿地方で最大級の109haあり、大規模な湿地には貴重な動植物が数多く確認されています。

ヨシ

ヨシとは、イネ科の植物で、生物学的に分けると、ヨシ、ツルヨシ、セイタカヨシに分類され、湖沼や河川の水辺に生えています。通常、水面から±50cmのところに生えています。

ヨシ原・ヨシ群落

ヨシは成長して広がっていき大きなヨシ原をつくります。そこにはヨシだけでなく、マコモ、カサスゲ、オギ、ウキヤガラ、シロネなどの草本、ヤナギなどの樹木も一緒に生えており、多くの魚類や鳥類が棲みかとしています。これをヨシ群落と呼んでいます。

ヨシ群落には水をきれいにする3つの働きがあります。

  1. ヨシによって、水の流れを弱くして、水の汚れを沈める働き
  2. ヨシの水中の茎につく微生物や群落の土中の微生物によって水の汚れを分解する働き
  3. ヨシが水中の窒素、リンを養分として吸い取る働き

ヨシ原の管理

冬になると枯れたヨシの地上部分を刈り取るヨシ刈りが行われ、ヨシが収穫されます。刈り取った部分は抜け殻的な部分でヨシの生体には影響がありません。ヨシは刈り取りを行うことで、次の年には立派なヨシが取れると言われています。また、刈り取りを行わないとヨシ原は荒れることが多いようです。

ヨシを刈り取った跡に同じヨシ原に生えていたカサスゲなどの雑草を敷き並べ、しばらく日を置いて乾燥させた後、雑草を燃料にして火で焼き払います。焼くことにより他の雑草の種子や病気のもととなる病害虫などをやききってしまいます。ヨシの地下茎は地下にいるので火の影響を受けません。春になると良質の美しいヨシがすくすくと生えてきます。

ヨシの用途

伝統的な日本家屋には多くのヨシが使われていました。例えば、ヨシ屋根、ヨシすだれ、夏障子、ヨシ衝立などがあります。現代の生活では、ヨシ製品を使うことは少なくなっています。

〔魚・貝・鳥〕

魚や貝

ヨシ群落には、多くの魚の卵が産み付けられます。卵からかえった小魚は、餌場や隠れ家としてヨシ群落で育ちます。コイ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、ホンモロコなどはヨシ群落内に卵を産み付け、小魚の時はこの中で生活をします。ヨシノボリ、スジエビもヨシ群落の中に多く棲息しています。カワニナ、ヒメタニシなどの貝類は、ヨシに付いて生活をしています。また、これらを餌にするブルーギルやブラックバスなどの外来魚もおり、ヨシ群落は魚の宝庫です。

滋賀県には約310種類もの野鳥が観察されていますが、多くの野鳥がヨシ群落を利用しています。それぞれ卵を産んで、子どもを育てたり、餌をとったり、敵から逃げてきたり、ねぐらとしたりしています。カイツブリ、オオヨシキリ、バン、カルガモなどはヨシ群落の中で卵を産みます。また、スズメ、ツバメ類は、ヨシ群落をねぐら(巣は違う場所に作る)にしています。